看護計画を記録する際は「SOAP」を活用しましょう。SOAPとは、「Subjective(主観的情報)」「Objective(客観的情報)」「Assessment(評価)」「Plan(計画)」の頭文字を取ったもので、それぞれの項目に沿って記録していきます。SOAPを活用することで、単に経過を記録するのではなく、対象者の問題を抽出できます。治療・援助を展開していくためのルートが明確になり、看護現場における情報共有もスムーズになります。
S(主観的情報)は「対象者が話した内容などから得る情報」、O(客観的情報)は「検査や診察で得た客観的な情報」、A(評価)は「医師の診断やOとSの内容を分析・解釈した総合的な評価」、P(計画)は「Aの内容を基に決定した治療の方針」です。
SOAPによる記録の具体例としては、S「息苦しさがあり痰を出そうとしても出ない」、O「バイタルサイン(各数値を記載)、チアノーゼなし。聴診にて右肺下部に雑音。吸引により年度の高い痰が少量あり」、A「痰の貯蓄によるSpO2低下で息苦しさが生じているが、痰の粘度が高いため自己排痰が困難。スムーズな排痰を促す必要がある」、P「去痰薬の投与、呼吸リハビリテーションの実施」となります。
記録を残す際の4項目を紹介しましたが、単にこれらを埋めるだけではSOAPを十分に活用できているとはいえません。SOAPは対象者の経過記録を残すものなので、対象者の基礎データの収集や分析、問題抽出が必須です。そこで明確になった問題点に対し、「どのようなアプローチが必要か」を記録しなければなりません。
また、問題点ごとの情報を整理しましょう。複数の問題点が混在し、内容が整理されていないと評価が曖昧になり、計画の根拠が乏しくなるだけでなく、今後の方針を定めることができません。これは患者の看護を行う上で非常にリスクの高い状態なので、しっかりと問題点やテーマを明確にした上で適切な評価を行えるようにしましょう。それに基づいて行動計画を立てることで、対象者に行う支援の根拠が明確になります。
医療現場では様々な分野の専門職種が関わります。そのため、記録に関する共通のルールが求められることになりますが、そこで効果を発揮するのがSOAPです。SOAPを活用すれば他職種との情報共有がスムーズになり、結果的に患者の命を助けることにつながります。慣れないうちは混乱する部分もあるかもしれませんが、慣れれば多くのメリットを得ることができます。焦らずに、まずはSOAPの基本的な書き方を学ぶことから始めましょう。